よん

 眠りから覚める。「おはよう」起きると既に起きていたミナトが居た。ボサボサの髪を手で整えながら僕の事を見下ろすミナト。「眠れた?」と聞くと「うん、ばっちり寝れた」そりゃ十分足らずで夢の中に誘われているんだからよく寝れているでしょう。
「寝袋はどう?」とミナトが聞くので「痛い」と正直に零すと「だよね」笑うミナトになんて言えば良いのかわからず。
「朝ごはんどうする?」と問う。「うーん」と考えるミナト。数分悩むので「コンビニでも行こうか」と僕が渋々提案すると「わかった」と頷くミナトに「そう言えば」と合鍵を手渡す。鍵を受け取る瞬間、少しだけミナトは息を止める。「まだ持ってたんだ」と呟くと「なんだかんだね」と返す。その言葉を聞くとミナトは大荷物を漁り、その中からポーチを取り出す。「おそろいだね」……まだ、持ってたのか。
「とりあえず、行こう」と慌ただしい心を抑えつけながら、財布と鍵だけを持って家から出る。「コンビニ近いの?」と聞かれるので「歩いて五分くらいかな」と笑うと「遠い」とゴネるミナト。「実家に居た時の方が距離としては遠いでしょ」と実家の近所のコンビニを例に出すと「だって歩いて五分はめんどくさいもん。夏だし」と帰ってくる。地元は車社会なのでどこに行くにも車を使うからだ。確かにそれはそうなんだけど。
 早朝の風が僕達を包む。その涼しい風と競うかのように既に日差しはキツい。コンビニに入る頃には少し汗ばむくらいで、コンビニの冷房がとても心地よく。適当に朝ごはんになりそうなものをカゴに入れていくとミナトが笑顔でお菓子を大量に持ってくる。
「三百円まで」と突っぱねると「遠足じゃん」と呟き「せめて税抜で」とゴネるので仕方なくそれくらいだったらいいよと僕は折れる。
 ミナトはご満悦と言った感じで合計三百円ちょっとのお菓子をカゴに入れる。レジに向かい、会計を済ませ家に戻る。
「暑かった……」二人して溶けそうになりながらクーラーを全開にして風を浴びる。ミナトは「ご飯食べたらもう一回寝る……」と言いながらご飯を食べながら、気怠げにしている。そして食べ終わるなり「じゃあ寝る」と本当に朝ごはんを食べた後横になるミナト。

 少し経って、ミナトが仮眠から目を覚ました。「さて、買い物行こうか」と僕が言うと「えー、朝行ったじゃん」とミナトがまたゴネるので「それは朝食分」と返しながら準備をする。
「ミナト用の脱衣カゴとか買わなきゃいけないでしょ」と付け足すと「一緒でいいのに」と返されるのですかさず「僕が困るの」と返す。
 少し不満そうにしながらも着替えだすミナト。ってここで着替えださないで!?
「ちょっとミナト?!」と僕にしては大きい声が出る「ん?」とシャツを脱ぐギリギリでこちらを向くミナト。「着替えるなら声掛けてって、ちゃんと廊下出とくから」と慌てながら言うと「見られても減るもんじゃないし」とへらへらとした顔で笑うミナト。こっちの精神がすり減るんですが。
 またミナトが着替えださないうちに廊下に出る。数分後、もういいよと扉越しに声が聞こえるので部屋に戻る。「おまたせ」と言うと黒い薄手の長袖シャツにジーンズ姿でベッドに腰掛けるミナト。
「それじゃあ僕も着替えるから」「うん」……うん、じゃないんだよ、ミナト。「着替えるから廊下に」とベッドから引きずり出す。「もっと減るもんじゃないじゃん」と文句を言い「めんどくさいー」と言うミナトを廊下に押しやって着替える。
 数秒ごとにまだ?と催促が来るも、そんな器用に着替えれるものでもないので三分くらい待たせる。
「まったく、女の子を待たせるだなんて」「はいはい、それじゃあ行きますよ」ミナトを抑えながら家を出る。
「あ、待って」家を出るとミナトがポケットを探る。「忘れ物?」と尋ねると「ううん、違う」と言い、ポケットの中から合鍵を取り出し、鍵をかけるミナト。
 振り返り満足そうな顔をしているので何も返す言葉が無く。「……それじゃ、行こうか」「ほいさー」と、近くのホームセンターまで向かう。

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