「くもりぞらさん?」
青空が僕の携帯を覗き込みながら尋ねます。
「私の写真、撮ってて楽しいですか?」
「あぁ、楽しいさ。思い出になるからな」
青空は「そう言うもんですか」と言いながらも携帯をまだ覗き込みます。
「くもりぞらさん的にはどれが好きなんですか?」
僕は少し考えた後、三枚の写真を青空に見せました。
「これはビールを飲んでいる時の写真だ。
あの時青空が家に来て心からホッとしたのを思い出すよ」
「あの時は、くもりぞらさんに会いたいって一心で。
ダメ元で駆けつけましたからね」
そう笑う青空の事を愛おしいなと思いながら、僕は次の写真を見せます。
「風車の見えるひまわり畑で撮った写真だ」
「風車、ひまわり畑、そしてゆっくり回る私。
くもりぞらさんの大好きなものだらけですね」
そう言いながら少し照れくさそうに青空は頬をかきます。
最後に一枚見せたのは青空のなんてことのない横顔でした。
「どうしてこれがお気に入りなんですか?」
「半分だけ曇って、その先には飛行機雲とキレイな空が写ってるだろう
"あおぞらとくもりぞら"って感じでこれが好きなんだ」
その言葉を聞くと青空は僕の肩を突きます。多分照れ隠しでしょう。
「今度は私もくもりぞらさんの写真を撮りますから」
「あぁ、いい絵になるように頼む」
みやはらさん、本当にありがとう。おしまい。